この手術前日の不安に至るまでには、アキレス腱が切れた瞬間から始まった一連の出来事があります。
仕事のことが頭から離れなかった“あの日”のことは、こちらに記録しています。
👉 【第1話】アキレス腱が切れた日、最初に浮かんだのは仕事のことだった
アキレス腱断裂と診断されてから数日。
松葉杖での生活にも少し慣れ、在宅勤務も始まり、生活は何とか回り始めていました。
仕事はパソコンでできることを進める。
家族はいつも通りの生活をしている。
表面上は、日常が戻りつつあるように見えました。
でも、手術前日になった瞬間、
その“日常らしさ”は一気に崩れました。
これまで頭の中を支配していたのは、仕事の不安でした。
復帰できるのか
収入はどうなるのか
会社での評価は下がらないか
しかし今、心を支配しているのは別の恐怖です。
「自分の身体は本当に大丈夫なのか」
■ 人生で初めての“手術”という現実
私はこれまで手術というものを経験したことがありません。
大きなケガもなく、入院もなく、メスとは無縁の人生でした。
だからこそ医師から
「手術が必要です」
と言われたときも、どこか現実味がありませんでした。
でも手術前日になり、急に実感が押し寄せてきました。
「明日、自分の身体にメスが入る」
その事実を言葉にすると、胸の奥がざわつきます。
■ アキレス腱にメスが入るという恐怖
アキレス腱断裂の手術は、珍しいものではない。
医師にとっては日常の治療。
頭では分かっています。
でも、自分の身体となると話は別です。
足の後ろにある太い腱。
それを切開し、縫合する。
「元に戻すための手術」だと分かっているのに、
“切られる”という事実だけが強く心に残る のです。
■ 意識がある中で行われる手術への恐怖

今回の手術は全身麻酔ではなく、部分麻酔。
つまり、意識はある状態。
これが想像以上に怖い。
音が聞こえるのではないか
振動を感じるのではないか
自分の足に何が起きているのか分かるのではないか
想像が止まりません。
経験がないからこそ、恐怖が膨らみます。
ケガ直後は、身体のことよりも「仕事に戻れるのか」という不安ばかりを考えていました。
そのときの気持ちは、こちらの記事に詳しく書いています。
👉 【第3話】仕事に戻れるのか|43歳営業マンの復帰への不安
■ 恐怖の種類が変わった瞬間
ケガ直後は、とにかく仕事のことばかり考えていました。
復帰できるのか
収入はどうなるのか
評価は下がらないか
でも今は違う。
「元のように歩けるのか」
「身体に後遺症は残らないか」
「この手術で本当に治るのか」
仕事より先に、自分の身体の未来を考えています。
松葉杖生活が始まったときの現実については、こちらで詳しく書いています。
■ 初めて“自分の身体が怖い”と感じた
これまで、自分の身体をここまで意識したことはありませんでした。
健康であることが前提。
動けることが当たり前。
でも今は違います。
「自分の身体がどうにかなってしまうかもしれない」
この感覚は、今まで経験したどんな仕事のプレッシャーとも違いました。
■ 受験真っただ中の長男のこと
そして、もう一つ心にあるのは長男のことです。
彼は今、人生をかけた受験の真っただ中。
本来なら、父親は支える側のはず。
安心させる側のはず。
それなのに今は逆に心配をかけている。
手術の不安に加えて
「このタイミングでケガをした自分」 への申し訳なさ、情けなさもあります。
■ 家族の前では平気なふりをしている
家族の前では、できるだけ普段通りに振る舞っています。
「大丈夫」
「すぐ終わるから」
自分に言い聞かせるように、そう言っている気がします。
妻は看護師で、冷静に準備をしてくれています。
子どもたちも心配しながらも、いつも通り接してくれる。
だからこそ、不安を口に出せない。
自分が崩れたら、家族まで不安にさせてしまう気がして、
怖さを飲み込んでいる自分がいます。
在宅勤務初日に感じた家族への気持ちは、こちらに書いています。
■ 手術の同意書を書いたときの現実感

手術前日、病院で同意書にサインをしました。
説明を受けながら、医師の言葉を聞いていましたが、
正直、内容が頭に入りませんでした。
「手術に伴うリスク」
「まれに起こる合併症」
「神経への影響」
これまでニュースや他人事として聞いていた言葉が、
自分の身に起こるかもしれない話 になっている。
ペンを持つ手が少し重く感じました。
サインをした瞬間、
「本当にやるんだ」
という現実が、急にのしかかってきました。
■ 病院へ向かうまでの気持ち
手術前日は準備のため病院に行きました。
松葉杖での移動。
車椅子の手配。
検査や説明。
周りは淡々と進んでいきます。
でも自分の心だけが追いついていない。
「本当にこれでいいのか?」
「怖いと思うのは普通なのか?」
何度も自分に問いかけました。
■ 初めて「逃げたい」と思った
これまで仕事では、逃げたいと思ったことはありませんでした。
厳しい数字
プレッシャー
評価
それでも「やるしかない」と前を向いてきました。
でも今回は違います。
初めて「逃げたい」と思いました。
手術を受けなければいけないのは分かっている。
でも怖い。
その感情に気が付いたのは、この日が初めてでした。
■ それでも受けると決めた理由

怖い。
正直、できれば避けたい。
でもこの手術は
「元の生活に戻るための通過点」
だと思うようにしています。
歩けるようになるため。
仕事に戻るため。
家族と普通に出かけられるようになるため。
自分の未来のための選択だと、何度も自分に言い聞かせました。
■ 手術前日に気づいたこと
手術前日、初めて思いました。
仕事を失うことより怖いものがある。
収入より大切なものがある。
それは
「自分の身体がちゃんと動くということ」
当たり前だった日常が、どれほど貴重だったか。
この数日で、痛いほど分かりました。
■ この経験は人生の見え方を変えている
この手術は単なる治療ではなく、
人生の価値観を変える出来事になっています。
止まったことで見えたこと。
今まで考えなかったことを考える時間。
仕事中心だった自分の価値観が、
少しずつ揺らいでいるのを感じます。
また仕事を冷静に見つめつつ、同僚の人としての優しさ、信頼を感じております。
この恐怖を抱えたまま迎えた手術当日。
病院のベッドで感じた感情は、また別のものでした。



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